そして、新しいゲームを。

ブログ開設して早々、2 記事目でいきなり転職記事を書くのも、転職記事書くのにブログ開設した人除けば多分自分が最速なんじゃないですかね。

はい、今回は転職記事です。タイトルではわかりづらいですが。

ちなみにこの記事公開した時にはもうすでに現在いる会社の最終出社日が終わった頃になるはずですが、執筆している今現在は、TVアニメ「NEW GAME!!」最終回最速上映イベント終了直後です。

はい、色々と感無量です。とりあえずイベント直後は、両手が赤くなったくらい沢山拍手しました。キャストの方々が嗚咽しながら頑張って喋ってたの本当にこっちまで泣きそうでした。涙をこらえるの大変でした。

NEW GAME! について

現在の会社を詳しく説明する前に、まず NEW GAME! という作品について触れてみたいと思います。

ご存知の方も多いかと思いますが、最初は「今日も 1 日がんばるぞい!」という 1 コマでなぜか大ブレイクし、原作者の得能正太郎先生もこのブレイクに驚きを隠せなかった芳文社さんが出版した 4 コマほのぼの社畜漫画ですが、そのブレイクを皮切りに TV アニメ化をはじめ、ラジオやゲーム化などのメディア展開がされており、多くのファンの心を掴みました。

そんな素敵な作品に、筆者がゲーム化作品の NEW GAME! -THE CHALLENGE STAGE- にちょっとだけ参加できたのは、本当に今までで指 5 本入るくらい嬉しかったことです(小ネタ挟むとプログラマにとって指 5 本では 32 まで数えられるがここは普通に 5 を指します)。なぜかこの作品は、自分と重ねられてしまう部分が沢山あります。まず自分も大卒とは言え一応新卒で憧れのゲーム会社に入り、原作でリーク情報の回を読んだ時ちょうど会社も同じようなリーク事件が発生してしまい、そしてその直後に東京ゲーム展の話が出てきますが、アニメでこの回を放送した週は自分も青葉ちゃんたちと同じくビジネスデーの企業パスでゲームショウに行き、他にも色々業界ネタで胃が痛くなった挙句、まさかアニメ 2 期が終わる頃に、自分も会社から退職するとか、この 2 年近くを振り返ってみると本当に感慨深いです。

では、このゲームに自分はどういう風に参加したのかというと、まあクレジットはアシスタント P という肩書きで載せていただきましたが、やってたことは主に収録への立会いで「ここはこうして欲しい」とか「ここ誤字あったので後でスクリプト直そう」とかの仕事をします。アニメの 1 期をご覧になられた方でしたら青葉ちゃんの収録の立会いの回を思い出すかもしれませんが、まさにそんな感じです。もちろんそこには自分だけでなく、音監さん以外にも立会いの人が沢山います。ですので自分のやったことは他のスタッフの方々と比べると本当に「ちょっとだけ」です。他にも一応ゲームの制作定例会議には出席しておりましたがまあそんな大したことはしてません。なので本当にクレジットに乗せていただいてとても恐縮でした。それでも「移植」や「多言語展開」ではなく、「原作ゲーム」では初めて自分の名前がクレジットに載ったので、ものすごい嬉しかったです。そして私に「史君好きそうだから参加してみない?」と声をかけてくださった木村 P には本当にしきれないほど感謝しています。おかげさまで本当に入社して一番楽しかった 1 年ちょっとを過ごすことができました。

もちろん、アニメと一緒に成長してきた fourfolium の皆さんの輝かしい姿も、上から目線に見えるかもしれませんが見ててとても嬉しかったです。繰り返しになりますがそんな NEW GAME! の TV アニメ第 2 期と一緒に、八神さんと同じように私も会社から退職してしまうなんて、感慨深すぎてどんな言葉でも今の私の気持ちをうまく表すことができません。

現在の会社について

上記の紹介でもう気づいた方もいると思います(というより筆者を知ってるなら知ってるはずです)が、私が今いる会社は、STEINS;GATE とか、古い作品ですとメモリーズオフとかを作った MAGES. という会社です。ゲームのブランド名 5pb. Games. の方がもしかすると比較的に知名度高いかもしれません。いろんなご縁があって、まさか自分が憧れな会社で働くことができるなんて思ってもみなかったから本当に嬉しかったです。そして入社した後も、たくさんの先輩にご迷惑をかけながらもいろんなお世話になって、自分にとってかけがえのない4年間でした。

ところが気づいた方もいるかもしれませんが、筆者は iOS のネイティブ開発者です。なのになぜコンソールゲームの開発会社にいるかというと、これはまたねねっちと同じような「コネ入社」です。最初はメモリーズオフiOS 版移植などを作った Mtrix という会社でバイトをしてましたが、ちょうど卒業する頃に色々と事情があってほぼ新卒で MAGES. に入社することになりました。しかも入社当時は筆者はプログラマではなく、iOS 移植のディレクターとして入社したのです。そもそも筆者はその時 iOS 開発経験なかったし、プログラミング経験と言っても中学校で BASIC をちょっとだけ独学したのと、大学で C 言語入門の授業を取ったのと、卒業研究でバリバリ CUDA やっただけです。なので最初は自分の仕事はただ単に「ここはこうして、あそこはああして」などの指示を実際の移植開発会社に伝え、そして出来上がったものを確認すると言った感じの仕事でした。

そして時は 2014 年 6 月に移り、この時に何があったかというと、アップルがその年の WWDC を開き、iOSmacOS 開発のための新しい言語 Swift を発表したのです。そしてちょうどこれと同じくらいのタイミングで、社内の方針転換により、移植プロジェクトを内制でやることになり、自分が iOS 開発者になったのです。

最初の頃は本当に大変でした。社内に他に iOS 開発者もいなかったので、話が聞ける先輩もいなければ、当時 Swift がまだ beta 版だったこともあって何かあったとしてもそれが Swift の問題なのか自分の問題なのかも神のみぞ知るでした。でも「まあとりあえず何か作ってみようよ」という非常に曖昧、言い換えれば自由なオーダーのおかげで、本当に色々と自由に研究することができました。昔の移植開発会社が作った iOS 移植作品のソースコード参照しながら Swift でそれを書き直してみたり、参考書を買ってきて何かしらのアクセサリーアプリを作ってみたり、話が聞ける先輩がいないことも言い換えればなんでも自己裁量でやってしまうことができました。自慢になってしまいますがその 2 年間は凄まじい成長ができた自負があります。iOS 開発の勉強会の常連にもなって、登壇して初心者たちにアドバイスすらできるくらいになったのです。

ですので、言い換えれば、今回転職することができたのも、本当に今まで自由にやらせてもらったおかげで圧倒的成長ができたから他ありません。なので今の会社にも当然とても感謝しております。

感謝といえば先ほど木村 P の話出てきましたが、他にも松原 P にもたくさんお世話になりました。私の「将来プロデューサーになりたい」の一言に、「このコンシューマ化企画もし通ったらとりあえずまずディレクターからやってみない?」と声をかけてくださったのが松原 P でした。残念ながら最終的にその企画自体がボツになってしまいましたが、やりたいことがあればなるべくそれを叶えようとしてくださるプロデューサーさんたちに本当に感謝極まりないです。

ちなみにちょっとずれた話になりますが、先ほどのクレジットの話にも出てきましたが、「移植」や「多言語展開」ならすでに何回か自分の名前をクレジットに載せたことがあります。「移植」は当然ディレクターの経験あったからですし、「多言語展開」は一部作品の中国語版や英語版の翻訳マネージメントも担当したことがあったからです。なので実は今の会社で iOS 開発以外にもいろんな仕事経験があります(一番レアでアレな経験は 1 回だけ音監も担当したことありますがそれはまた今度機会あれば話しましょう)。

ならばなぜ転職するのか

NEW GAME!! 最終回では、八神さんの退職理由は「海外に行ってもっとたくさん勉強したい」だということが明かされました。これは自分の転職理由の一つでもあります。確かに今まで好き勝手にやらせてもらった結果圧倒的成長ができたし、一人でなんでもこなしてきたから並みの iOS 開発者よりは圧倒的広い分野を経験してきたかもしれません。ですが今の環境ではとうとう天井が見えてきました。自分の成長できる限界が見えてきました。八神さんが今まで以上に成長するために海外行くことを選んだのと同じように、私も違う会社に転職して、もっと違ったたくさんの刺激を受けることを選びました。

ただ、転職理由はこれだけに尽きる、というのはあまりにも絵空事すぎです。残念ながら現実は NEW GAME! みたいに、職場に行ったら全員可愛い美少女なわけありませんし、人々が転職する理由も八神さんみたいに前向きな理由だけってわけでもありません。自分も同じく、もちろんさらなる成長をしたいというのも大きいですがそれだけではありません。もう一つ大きな理由があります。ズバリ給料です。

NEW GAME! をご覧の皆さんでしたら大体想像はつくかと思いますが、青葉ちゃんは新卒で給料が低くても実家通いのため家賃の負担がなく、比較的に楽な生活ができますが、すでに何年か経験がありながら部屋借りてるはじめさんはそううまくいかず、欲しいフィギュアを買うのにもたくさん躊躇って最後「仕事にも使うから」と自分に言い聞かせてようやく決意ができるのです。筆者も同じような感じです。ただ違うのは、自分の仕事はゲーム製作に直接な関係が薄く、あくまで iOS ネイティブ開発です。なので結局最終的に会社との需要と供給のミスマッチもあって、会社にとっても私が扱いづらく給料を上げにくいし、私にとっても給料が少ない上やりがいを感じにくいです。

そして転職に振り切った決定的な理由がもう一つあって、それは開発スタイルの違いです。

弊社はあくまでコンソールゲームの開発会社であり、SDK 非公開で、資料やノウハウは基本社内開発陣のみに共有されている非常にクローズドなコンソールゲーム開発と、SDK 公開の上毎年公式非公式たくさんのカンファレンスや勉強会があっちこっちに開かれ、資料やノウハウもネットでたくさん公開されておりとてもオープンなスマホアプリ開発とでは空気が全然違います。先ほど説明した通り私はそもそも iOS 開発者になった時他に話聞ける先輩がいなかったので、勉強会やネットの資料がとても手助けになりました。その代わり、知らずうちに社内の開発チームとはとても空気感の違う開発スタイルになってしまいました。そういった空気感の違いがだんだんストレスにもなり、それがきっかけで「むしろ転職すべきでは」と初めて転職すべき理由を考え始めました。

次の会社はどんな会社か

有休消化もありますので、ちょっと時間空いてしまいますが 11 月からゆめみという会社に正式入社することになります。主な仕事は受託開発の会社ですので、実は面接の時も人事の方に「自社サービスの会社に入りたいので正直に申し上げますと御社は第一志望ではありません」と馬鹿正直な告白をしたのですが、人事の方からの「でも逆に言うと弊社に来ると転職せずにいろんな業界の仕事が体験できるよ!」との言葉がとても刺さっており、それ以外にも勉強し放題などのユニークで面白そうな社内制度がある上、自分が言い出したたくさんのわがままな条件を全部受け入れてくれて一番最初に内定を出してくださいました。執筆時点ではまだ入社手続き等も終わっていないので具体的な感想はまだありませんが、とても面白そうな会社だと思いますし、レベルもとても高い会社(のはず)なのできっとここでならさらなる圧倒的成長ができると思います。そして、次のステージへ向けた、新しい社畜キャリアという名のゲームへの第一歩になることを祈ります。

これから就活/転活する人へ

SHIROBAKO を見てアニメ業界を志望しました、これが声優!を見て声優業界を志望しました、そして NEW GAME! を見てゲーム業界を志望しました、と言った方々がたくさんいると思います。そんな方々に一言だけアドバイスをするのでしたら、「この業界は、人々に夢を見せるのが仕事であり、自分が夢を見てはいけません」。もちろん、夢があるのはいいことですし、この言葉も別に何も「この業界では夢が叶いません」なんて意味ではなく、あくまで「毎日夢ばかり見てそれを行動に移さないというのはダメ」です。むしろ宮森さんや青葉ちゃんたちの輝かしい姿を見て、自分も同等以上の努力をせねばならないと考えなくてはいけません。なにせ、この業界は作品で描かれているように甘くありません。

そして、この業界を志望しなくても、一番憧れの職につきますように。