色彩検定 2 級合格した話

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何故色彩検定を受けようとしたか

筆者はアプリエンジニア、普段の仕事はひたすらコードを書くこと1です。

そんな筆者が何故、色彩検定を受けたのかというと、建前上の理由は世の中がたくさんの色で構成されて、それが人間にとって様々な刺激をもたらすか、どうしてお洒落と感じる配色とダサいと感じる配色があるのかが気になるからです。もちろんアプリの UI にも色は必要不可欠な要素なので、色についていろいろ知っておいた方がアプリエンジニアとしてもメリットがあると思います。

しかしまあそれはあくまで建前上の理由で、もちろんそういった側面もあるにはあるのですが、本音を言うと、弊社では「資格取得報奨金制度」と言う素晴らしい制度があって、取得された資格に応じて一定のボーナスがもらえると言う仕組みです。そしてそんな中で、「色彩検定」なら、2 級なら 3 万円、1 級ならなんと 5 万円の奨励金2が出るのです。ちょうど最近家を買ったりで金欠してるから、少しでも足しになると思って検定を受ける決意をしました。

じゃあ何故一番金額の高い 1 級を受けないかと言うと、流石にゼロ知識3でいきなり最難関を挑戦するのは無謀すぎると思ったからです。それに 1 級は試験を2回受ける必要もあり、結構大変かなと思いました。

色彩検定をどうやって勉強したか

基本的には Amazon公式テキスト過去問だけ買って、それを独学で勉強しました。

中学校の物理でも一応光は電磁波だったり、その波長によって見える色が変わってきたりといった知識を教えてくれてるので、私にとってそう言った理系の話は実は全然難しくありませんでした。しかし逆に言うと、理系以外の話、例えば色相環や色立体、そして配色の話は覚えるのに結構時間がかかりました。特にファッション系の話は興味ないからかなり苦手なので、実は半分諦めてる分野です。

ただ例えば色相環や PCCS / マンセル表色系で使われる色コードの話は、意外と理解さえすれば覚えるのにそれほど難しくはないことに気付きました。もちろんある色を出して、それをすぐ正確に色コードで答えるのは無理ですが、ある程度の範囲を推理するのは理解さえあれば可能なので、選択肢の中から選ぶレベルなら意外と正解率が高いことに気付きました。何故なら色相環ってのは虹色のグラデーションに、最後の紫と最初の赤をシアンで繋ぐだけですので、カラーコードで大まかんな位置を割り出して、その大まかな色を想像するのはさほど難しくないです。それを理解できれば、配色の技法はちゃんと理由があるのが理解できますので、丸暗記せずともなんとかなります。

ちなみに、2 級の勉強をするのに、実は正味時間はそんなに長くないです。公式テキストを通算15時間程度、過去問を通算5時間程度かなと思います。過去問の本は 3 級と 2 級の問題がそれぞれ 2 回分計 4 回分ですので、テキストブックを軽く読んで、1 回分の過去問を解いてみてどこがテストに出るのかをある程度イメージできて、もう一回テキストブックを細かく読んで、まだ解いてない方の過去問を自力で解いてみて、わからなかったものがあったらそれをテキストブックで探してみて、と言う繰り返しでやりました。

でもそれもある程度の理系の知識がある上での話ですが、逆に 3 級を受けた妻はそう言った理系の知識が全くなくてほぼ全て丸暗記でやろうとしてましたので、3 級を受けるのに私以上に時間をかけてました。

色彩検定の 2 級はどんなテストが出るか

2 級に入る前にまず 3 級の話をしておきましょう。3 級では色についての最低限の仕組みの知識が求められます。例えば電磁波はどう言うものか、その中でどこからどこまでの範囲が可視光の範囲か、そしてどの周波数がどの色に対応しているのか、その色に反応するのは目の中のどの錐体細胞か、色盲が何故色の区別ができないのかとかの話が出てきます。その最低限の仕組みを把握した上で、色の三要素(色相、彩度、明度)の話や、PCCS 表色系の話が出てきて、さらにはどの色がどんな働きを持っており、それをどのようにファッションやインテリアに活用されているのかの話が出てきます。

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3 級の公式テキストの目次

それに加えて、2 級では更に光と色の関係を更に踏み込んだ話をしたり、パッと見どれくらい見やすいかの視認性などの概念を導入したり、PCCS よりも更に一般的なマンセル表色系の説明をしたり、よくある配色のパターンの定義や機能を紹介したり、それらがファッションやインテリアだけでなく、ビジュアルデザインや景観などにどう活用すればいいかの話が出てきます。テストの内容も、全問選択式の 3 級と比べて、(105 問中 5 問だけですが)記述式の問題も一応出てくるようになります。

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2 級の公式テキストの目次

逆に言うと、お気づきの方もいるかもしれませんが、いわゆる #FFFFFF のようなモニター上で表示される RGB カラーコードの話は(ほぼ4)出てきません。

ちなみに 2 級を受けるのに 3 級の知識が必要かと言うと、まあ全く知らないでいきなり 2 級のテキストブック買っても、解き方によっては合格は可能かもしれません。何故なら問題文だけに注目すれば PCCS 以外は 3 級の知識がなくてもなんとかなるかとは思います。ただしやはり 3 級の内容は 2 級をの知識を理解するための基礎でもあるので、ただ資格が欲しいだけではなく、ちゃんと知識が欲しいと言う方はぜひ 3 級のテキストブックも読んでおいた方がいいと思います。

色彩検定を勉強してどう思ったか

元々デザインには多少興味を持っていましたので、色の勉強ができてとてもためになったとは思います。特に表色系の話を勉強して、例えば何故安直に #00FF00#0000FF のような色でグラデーションを作るのがダサいのか、逆にどのように色相と彩度を考慮して緑と青のグラデーションを作ればオシャレに見えるのかがわかってきて、今まであまり深く考えたことがない世界がどんどん鮮明に見えてきてとても面白かったです。

そしてせっかく今 2 級合格したので、今後は 1 級の取得も目指していきたいと思います。会社からボーナスももらえるし何せやはり色の話はとても面白くて役にも立ちますしね。


  1. 正確にはコード書くだけでなく、プログラムの構造を設計したり、仕様の相談も受けたりしますが。

  2. 一番簡単な 3 級はリストに載っていませんが、それでもリストに載ってない資格として一律 1 万円の奨励金が出るルールです。

  3. でも実際勉強し始めてから気付いたのですが、実はエンジニアなら色についての最低限の知識、例えば赤と緑と青を混ぜるといろんな色ができるとかの知識はありますし;さらにそれは 3 種類の錐体細胞の働きによってできたものだと言うのもなんだかんだって知ってたので、完全にゼロ知識ではありませんでした。

  4. 一応テキストブックでは豆知識的な位置づけで RGB カラーコードや色空間のカラムが出てきますが、当然ながらテスト範囲ではありません。